背景
欧州では都市モビリティの政策・技術をテーマにしたPOLIS NETWORKという交流プラットフォームが組織されています。欧州を中心とした大小様々な都市の行政機関が、国境を越えて個人・団体間での交流を行うとともに、アソシエイトメンバーとして研究機関や大学、民間企業など加わることで、知見の共有や課題解決のためのイノベーションが活発に行われています。
1989年に設立されて以来、環境問題への関心が高まる中で規模が拡大してきています。2024年時点で127の都市、地域の行政機関が参加しています。

実施内容
POLIS NETWORKの主要な機能の一つは、都市モビリティに関する課題をテーマとしたワーキンググループの活動です。「環境・健康」「輸送効率」「都市アクセス」「安全性」「ガバナンス」の5つを主要テーマとし、これらに関連付けられる形でいくつものワーキンググループが組織されています。同じ課題を持つ都市や関連する技術を持つ大学、企業などで構成され、共同で研究、実証などの活動を行っています。得られた知見はレポートにまとめてPOLIS NETWORK内で共有・活用されるとともに、時には欧州委員会への提言につながることもあります。
事務局が課題を抱える都市や地域と新たな技術の開発に挑む大学や企業等とのマッチングを支援することもPOLIS NETWORKの機能の一つです。都市や地域の課題解決と大学や企業のイノベーションを同時に進められる点で双方にメリットをもたらしています。


- POLIS NETWORKは様々なイベントを開催しており、関係者での情報共有・交流を促進しています。中でも毎年開催される年次総会は近年1,000人規模のイベントとなっており、行政職員や研究者などのネットワークづくりの場となっています。さらには先進的自治体で都市交通を担当する副市長や大臣といった政治的リーダーも参加し、イノベーションを通じて都市や都市交通の価値を如何に高めていくかが議論されていることが特徴です。
- 2024年の年次総会は気候変動対策に積極的に取り組むドイツ連邦バーデンビュルデンベルク州のカールスルーエ市で開催され、2日間で約200件のプレゼンテーションやパネルディスカッションで知見の共有や重要政策課題の議論が様々なレベルの関係者を交えて行われました。そのほか企業ブースの出展や優れた取り組みの表彰なども行われています。

ポイント
- 都市モビリティに関する知見の共有や個人・団体間の交流を活性化させることを通して自治体の政策立案の能力の向上に貢献しています。
- 本部事務局は日本でよくみられる協議会のような形式ではなく、非営利団体として独立した法人格を有しています。都市規模に応じたメンバーシップフィーを運営資金としており、ブリュッセルに約30名の職員を擁する事務局を置いています。スタッフはPOLIS NETWORKに雇用された正規職員で、都市計画や建築を中心に様々なバックグラウンドを持つ人材を採用しています。
- 類似の組織にEUがトップダウン的に組織したCIVITASがあります。CIVITASが交通・都市分野の取り組みへ競争資金を配分する政策プログラムを推進しているのに対し、POLIS NETWORKはボトムアップ的な都市のネットワークによって、メンバーの都市や地域、企業等が相互に連携していることが特徴です。POLISはラテン語、CIVITASはギリシャ語でともに都市国家や市民権を指します。


【資料・参考情報】
①POLIS NETWORK website
