淺見知秀,鳥海佑介,谷口綾子
交通工学,Vol.57,No.2,pp.20-23,2022
全国各地で MaaS の検討が進んでいるが,地方小規模都市では公共交通が不便であり,自動車依存が高いため,公共交通の連携が可能か,利用されるのか明らかにはなっていない。小山市では,バスとタクシーの連携が可能なのかを検証するため,市内バス全線定期券保有者に対して,タクシー初乗無料券を無制限で配布する社会実験を 48 日間行った。
結果,定期券保有者 304 人のうち無料券を受け取ったのは 60 人(19.7%),さらに無料券を利用したのは 27 人(8.9%)と期待よりも少ない結果となった。利用した 27 人は,通勤,買い物,通院などに合計 220 回(平均 8.1回/人)利用しており,そのうち 1 日複数枚利用は 85 回,1 枚利用(片道タクシー利用)は 135 回,少ないバスダイヤを補完するように片道バス・片道タクシーを利用している可能性が確認された。加えてアンケートの回答では,実験前よりもタクシーとバスの利用回数が増えていることが確認された。
