背景
イルドフランスモビリティは、脱炭素、騒音軽減、大気汚染改善に向けた、バス車両の電動化・バイオメタン化を推進しています。2018年4月にクリーンエネルギー移行の目標を立てており、2025年までに人口密集地、2030年までにパリ都市圏全域のバスを100%クリーンエネルギーに移行し、最終的にはバイオメタンバス75%、電動バス25%にすることを目標に掲げて、車両の更新を進めています。また、鉄道・バス事業の委託内容をオペレーションのみとする等、公共交通事業の上下分離化、運行車両の調達・保有を推進しています。

実施内容
パリ市内の路線バスをみると緑色と青色の車両が走っており、緑色がRATP保有の既存車両で、青色がイルドフランスモビリティが保有する新しい電動バス等のクリーンな車両です。
現在、イルドフランスモビリティが保有する車両は、2023年11月時点で、バイオメタンバスが1,900台、電動バスが750台、ハイブリッドバスが1,300台あり、今後、計画目標達成のために、10億ユーロの投資準備ができているそうです。なお、水素エネルギーを用いる燃料電池バスは、5台の車両で実験を行っており、今後、47台導入予定だそうです。
供給施設の設置状況としては、2023年11月時点で、バイオメタン供給所が38箇所、充電施設が7箇所あり、今後、3.5億ユーロを投資して4,000箇所設置する予定で、ランニングコストの1.45%が、EU・フランス政府・企業から補助されているそうです。



ポイント
運行事業者の判断に委ねることなく、自ら計画的に投資・実行することで、確実に、脱炭素推進、大気汚染改善を進めることに繋がっています。
また、欧州では、国際競争入札が導入されており、長期的な委託契約ができないため、運営主体自らが車両保有することで、計画的・弾力的な運行ができるそうです。

【資料・参考情報】
①le-de-France Mobilités Organising authority for sustainable public transport in Île-de-France(2023.11,IDFM)