背景
行政が届かないところで民間企業が多くのデータを保有しているという不満から、EU、国からのトップダウンだけでなく、地域からのボトムアップでもオープン化が進んでいます。例えばパリ市は、ポータルサイト(ParisData)を開設し、データカタログやダッシュボード、可視化プラットフォームの公開に取り組んでいます。
パリ市モビリティ庁街路・移動部のメラニーさんは、「ParisDataは、全てのデータをクロスさせること、そして国のポータルサイト『data.gouv.fr』に自動的にデータが渡されてしまう前に、市側でデータを整えることを目的としています」と言います。
ちなみに、交通データに関する国のポータルサイト「data.transport.fr」は「data.gouv.fr」のさらにその先にあり、交通関係のデータは直接「data.transport.fr」へ提供されるわけではありません。
データを通して、行政の取り組みの透明性を高めるとともに、市民との対話のツールとして、オープンデータのポータルサイトの役割の重要性は高まっています。

実施内容
ポータルサイトでは、有料路上駐車ゾーンや自転車ルート、歩行者優先レーン、公共空間で実施中の工事現場、街灯の位置がカタログ形式で提供されています。そして静的なデータに限らず、パリ市のシェアサイクル「Vélib」や、電気自動車用充電ポイント「Bélib」のリアルタイムの空き状況、様々なモードの交通量のような動的なデータも提供されています。
そして交通に関するもの以外に、財政、市民権、観光、文化、環境、施設、都市計画に関する様々なデータが提供されています。


ポイント
シェアサイクル3社、シェアスクーター、カーシェアリング等の民間事業者は、利用状況データを市へ提供する必要があります。市との公共空間使用許可の契約の中で定められているからです。また、営業を許可されてから、実際に事業展開が始まる前には、データ授受のテストも実施するという入念なチェックがなされています。
収集されたデータをデジタル解析の部隊が解析し、一般の市民でも見れるようにダッシュボード化して提供されています。ちなみにメラニーさんによると「市役所内では主に、カーシェアの許可車両の実際の状況把握等、モビリティの利用のコントロールに活用している」とのことです。

ステーション位置の可視化例(出展①)

【資料・参考情報】
①ParisData
https://opendata.paris.fr/pages/home/