淺見知秀,谷口綾子, 石田東生
土木学会論文集F5(土木技術者実践), Vol. 78, No. 1, 65‐79, 2022
本研究は,公共交通のサブスクリプション型運賃は持続可能なのか,採算が取れるのか,導入の意思決定は如何に行われたのかを明らかにするため,筑波大学と小山市におけるエリア乗り放題格安バス定期券の導入プロセスと効果を分析した.筑波大学は,学内交通環境改善検討の結果,大学がバス事業者から1年間有効の定期券6千枚を一括買取りし,大学構成員に再販することで9割引を実現して17年間サービスを継続していた.小山市は,市民のバス利用促進を目的に市内全線定期券の7割引を決断し,販売期間を暫定1年として,延長して2年間サービスを継続,減収が無いため恒久サービスに転換していた.両事例には,公的主体による収入保証,モビリティ・マネジメントの継続と定期券購入者増加,地域の協働などの共通点があった.
