背景
ベルリン市とベルリン交通局(BVG)は、交通利便性の高いまちづくりを進めるうえで、都市開発とモビリティの融合に取り組んできました。
地下鉄や路面電車、バスはもちろん、カーシェア、自転車シェア、電動キックボード、タクシー、ライドシェアなど、市内の交通手段が統合されたご当地MaaSの「Jelbi(イェルビ)」 をまちづくりのプラットフォームとし、Jelbiのリアルな拠点となるモビリティ・ハブとして「Jelbiステーション」を、鉄道駅やバスターミナルだけでなく、ショッピングセンターや集合住宅、再開発エリアに戦略的に展開しています。
実施内容
大規模なモビリティハブであるJelbi ステーションと小規模のモビリティハブJelbi ポイントを面的に集中して配置していくJelbi ネットを12か所で展開しており、過度な自動車利用を抑制し、気候危機にも貢献する地域づくりに取り組んでいます。
不動産会社からは、商業エリアや再開発住宅地における駐車場不足を補うために公共交通へのアクセス改善を図りたい等の地域ニーズに応じた要請があり、敷地の提供を受けて行政がJelbiステーションを設置している例もあります。その結果、ベルリンの各地で自動車利用を抑制しつつ、まちの活力を高める、モビリティサービス主導での開発が生まれています。
Jelbi ネットの拠点では、地元商店とのコラボイベント、クーポン配布、地図配布など、単なる交通手段の提供を超えた、まちの賑わい創出にも取り組んでいます。

不動産や都市開発、まちづくりとのパートナーが広がっている(出展②)
ポイント
- 不動産業者との連携により、行政、交通事業者と不動産パートナーとの連携が円滑な宣伝・集客を後押し、結果として移動の利用促進につながる、相乗効果が期待されます。
- Jelbiという官民連携のMaaS基盤を通して、モビリティサービスの事業者よりも不動産パートナーのほうが今や連携や協議が多いというのも特徴です。これにより、不動産開発や商業、地域コミュニティとモビリティが融合し、交通インフラが地域経営の一翼を担う構図を作り出していることが重要です。
【資料・参考情報】
①牧村和彦:ドイツ「MaaS先進都市」現地リポート 日本との違いは、日経新聞電子版
②Introducing Jelbi A One-Stop-Shop for Urban Mobility(2023.12, BVG)