背景
米国では年間4万人以上が交通事故で死亡する中で、歩行者、自転車、公共交通を含めたみんなの道路(コンプリートストリート)の普及が課題となっています。また、一律の基準ではなく、地域の実情に合った柔軟な計画の運用、評価指標の開発が求められています。
実施内容
アメリカのナショナルアカデミーの1つであるTransportation Research Boardは、道路の容量や品質、サービスを設計するためのマニュアルであるHighway Capacity Manual(日本でいう道路構造令)を1950年から発行しています。
マルチモーダルなアプローチを道路構造令へ反映したのは1985年が最初であり、その後も定期的にアップデートを続けています。また2022年の改訂では、新たに自転車や歩行者のサービス水準の考え方が提示されるとともに、街路のマルチモーダルなパフォーマンスを計測することが重要視された内容となっています。

ポイント
米国の道路構造令は定期的な改訂を重ね、近年はマルチモーダルを考慮したみんなの道路(コンプリートストリート)の概念を具体化した議論が活発に行われている
- アメリカでは、道路空間のマルチモーダル利用の促進をはじめとして、時代のニーズを踏まえ、1950年から定期的に構造令を改訂している点が特徴的です。
- 2022年の最新の改訂では、歩行者のサービス水準の評価手法として、従来用いられた移動時の遅れ時間の代わりに、歩行者の満足度に基づいて評価する方針が新たに示されました。また、歩行者のサービス水準を構成する要素として、AADT(平均日交通量)の活用や、交差点における横断歩道やRRFB(閃光式警告灯)の有無を加える方針が示されました。
- 道路は自動車のためだけではなく、歩行者、自転車、公共交通を含む、みんなの道路(コンプリートストリート)という発想で、道路の規格、サービス水準をアップデートしている点も参考になる取り組みです。る形でデータを活用できる環境を構築し、データガバナンスの研修コースを通した人財育成に取り組んでいることが報告されています。

【資料・参考情報】
①American Heart Association:Complete Streets