実施内容・ポイント
<データガバナンスに対する取り組み>
- 2024年1月に開催されたTRB Annual Meetingでは、公共交通のデータ・ガバナンスに関するセッションが設けられました。セッションでは、全米の数多くの交通事業者がデータサイエンティストを新規に採用していることが報告され、データガバナンスの担当課長が一同に介し、データを用いた交通経営のあり方が活発に議論されていました。47交通事業者の担当者間で、定期的にデータガバナンスについての意見交換もされています。
- アトランタのMarta(Metropolitan Atlanta Rapid Transit Authority)からは、データの分析能力を強化する観点から、効果的かつタイムリーに、信頼できる形でデータを活用できる環境を構築し、データガバナンスの研修コースを通した人財育成に取り組んでいることが報告されています。
- ミネアポリスのMetro Transit(Minneapolis-St.Paul)は、取得されたデータ処理の自動化に取り組み、データサイエンティスト(彼らは探検家と呼ぶそうだ)による分析がしやすい環境構築を実現しています。
- オースティンのCapital Metroは、データ駆動型パフォーマンスマネジメントを実現するために、分析プラットフォーム(Analytics Platform)を構築し、ダッシュボードによるデータ可視化を導入しています(出典①) 。
- ピッツバーグのPRT(Pittsburgh Regional Transit)からは、データウェアハウスやデータ間の関係性の再整理を行い、アナリストと経営者が協力して取り組むことの重要性が報告されました。
- ニューヨークのMTA(Metropolitan Transportation Authority)では、取締役への報告、パフォーマンスダッシュボード、オーブンデータが別々のラインで動いており整合性に問題を抱えていたことから、一元化された新たなデータベースを構築している取り組みが紹介されました(出典②)。
- このように、米国の多くの交通事業者は、データサイエンティストを採用し、高度な解析技術を援用しながら、都市交通の経営改善、データ・ガバナンスに取り組み、各地で移動需要の回復を実現している状況です。


【資料・参考情報】
①CapMetro
②Utilizing Open Government Laws to Motivate Data Governance(2024.1.10 MTA)