背景
欧州では、現在、長期契約が難しい欧州での国際競争入札等、厳しい契約状況にあり、これらを背景に、 RATPでは、地下鉄の自動運転化、国際展開、マルチモーダル化、エキスパート育成等、多様な手法で経営の安定化、人材維持に努めています。


実施内容
RATPは、パリ首都圏において地下鉄の自動運転化を進めています。2024年5月時点で運転士のいない無人運転は3系統となっています。運転手が完全にいない「GOA4」、半自動の運転手がいる「GA2」に区分し、都心部の高頻度の基幹路線のみ完全自動化を目指しています。
実際に自動化された14号線では、自動運転化により、300名の運転手を60名まで削減できたそうです。また、自動運転への移行する際、労働組合との交渉・合意のために、削減した運転手は他路線で勤務することや、この路線での仕事を続けたい人にはメンテナンス等で携わってもらうことにしたそうです。
なお、地下鉄の基幹路線では、6~8分間隔と、高頻度で運行しており、これらを運行管理する際、JR東日本と技術的なパートナーシップを結んでいるそうです(14号線では80秒間隔でテスト中)。


ポイント
RATPでは、地下鉄の自動運転化による運行の高頻度化と運行コスト削減を実現し、非常に多くの人材が集中する基幹路線を対象にすることで、効率性が高い運行に繋がっています。
その他、人材の就労環境改善、人材維持のために、都心で住居確保が難しい運転士のための寮や、教育への積極的な投資・新規雇用創出、整備士・運転士から運行管理へのキャリアアップを用意しています。
また、経営安定化のために、グローバルオペレータとして他の欧州各国、世界への国際展開により人材の流動性を高め、雇用機会の均等化を図っているそうです。
【資料・参考情報】
①RATP GROUP:A PARTNER OF CITES(2023.11,RATP)