背景
パリ市は、「歩行者、自転車、子供、お年寄り等、最も弱い立場にある人々にとって、首都の道路を安全なものにしたい」と考えています。そのため、かねてから歩行者空間の整備等を進め、公共空間の変革を行ってきました。
例えば、 歩道と車道の間に段差がなく、車両と歩行者が通行できる歩車混在道路の整備が積極的に進められてきました。
コロナ禍で都市の価値再考が議論される中、子供達の安全を最優先した幼稚園、小学校、中学校など、学校前の道路を歩行者専用、優先に再編する「学校前プロジェクト」が2022年頃から始まっています。

実施内容
幼稚園、小学校、中学校などの学校前の道路は、この僅か3年間で200以上もの区間が、歩行者専用、優先空間に生まれ変わりました。街路や街中に、街路樹や緑の空間が増え、道路は確実に安心な憩いの場となっています。夕方には井戸端会議が学校前で行われ、子供達が道路で自動車を気にせず過ごす光景も日常となりつつあります。


ポイント
地区毎にデータで地域診断をし、住民などの参加も行いながら、学校前の道路を人中心、子供中心の空間に再編してきています。
再編された空間には、緑化を施し、路上駐車のための空間も合わせて縮減し、市の駐車削減目標である8割削減にも貢献しています。


楽しげな空間




【資料・参考情報】
①PARIS DATA
https://opendata.paris.fr/pages/home/
②牧村和彦,世界の「MaaS」新潮流を読み解く 第23回 パリ五輪目前の交通大改革 クルマの交通量45%減、何を変えたのか,2023年11月29日.
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00582/00023/
③牧村和彦、通学路にクルマはいらない? パリの180か所が「歩行者専用」化で親子安心、日本の一歩先を行く政策とは、メルクマール、2023年5月12日
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00582/00023/