背景
コロンビア国の首都ボゴタ市(人口約700万人)に2000年に開通したBRTシステム「トランスミレニオ」。BRT開通前は、660以上のバス路線と複数の運行事業者が利用客を奪い合っており、交通混雑やサービス効率の悪化が問題となっていました。
BRT事業は1997年に前々市長のトップダウンにより事業決定されました。1999年にトランスミレニオ社(ボゴタ市約70%、中央政府各省庁約30%を株主とする公的企業)が設立され、2000年にBRTの2路線が運行を開始しました。現在の幹線の路線長は計114.4kmで、将来的には300kmまで拡大することを目標としています。(現在78.8kmが建設中)
2012年以降、幹線バスに接続する支線バスが運行を開始ており、2021年時点で、市内の13ゾーンのうち9ゾーンがカバーされています。
実施内容
ピーク時の輸送能力は45,000人/時と極めて高いことが特徴です。数百万以上人口規模で、ピーク時の大規模需要を、軌道交通なし1でカバーしているケースは、世界的にも稀です。片側2車線の専用車線の確保により、各駅停車の停車時に特急運行が追い抜くことができます。また、駅には同時に6便まで停車可能で、高い運行効率を実現しています。
トランスミレニオ社は民間バス会社と契約しBRT運行を委託しており、Fiducia del Sistemaというトランスミレニオ専用の基金に一旦運賃収入や補助金を収集し、運行事業者に走行距離等によって分配しています。支出のうち49%が運賃収入、51%がボゴタ市からの補助金によって賄われています。道路拡幅やインフラの整備についてはガソリン税の値上げ分で充当しています。

ポイント
- 運行開始より20年以上を経て、いくつかの課題に直面しつつ、乗り越えている点を学ぶことができます。
- まず、初期に導入した車両が耐用年数の寿命を迎えるにあたり、車両の入替を行っています。その際、環境にやさしい電動バス車両を導入しており、2024年時点で全車両のうち14%が電気バスとなっています。また、水素バスも試行中とのことです。
- 新規車両の調達には、市の基金を活用し、財務面で工夫して対応しています。電力会社、ガス会社などが集まって基金を設立し、車両調達に参加するケースもあります。運行距離をベースに報酬を計算することで、運行事業者のサービス維持へのモチベーションを確保しています。
- 低所得者に配慮した低運賃政策によって一時には財源難に陥ったものの、契約形態を見直し、資金面を保証できる会社を選別する等の工夫により乗り切っています。


- 運行事業者への報酬額の決定には、EIC(インテグラルクオリティ評価)という評価形式が採用されています。サービスの質を安全性、定時性、運転マナー等の各項目につきA~Cの3段階で評価しています。評価により支払額のキロ単価が上下するため、これがサービスの質担保のインセンティブになっています。
- 2000年の運行開始から黒字を維持し続けてきたシステムですが、2012年、支線バスの導入により赤字に転じました。2020年にはコロナ禍の影響を受け、収入は50%減少しました。
- 一方で、ここで特筆すべきなのは、事業を縮小するのではなく、むしろ拡大したということです。赤字額は増加したものの、積極的な事業展開により、収益の回復を図っています。
- その他の課題として、無賃乗車があげられています。コントロールセンターにおける警察との連携、ハード面での整備などを進め、セキュリティ面の強化を図っています。


- 現在、地下鉄を建設中(2028年3月開業予定) ↩︎
